中小企業投資促進税制とは
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租税特別措置法の第2弾、今回は中小企業投資促進税制です。
この税制は、中小企業等における生産性向上等を図るため、一定の設備投資を行った場合に、税額控除や特別償却を認める措置です。
似た制度として、中小企業等経営強化法に基づく支援措置である、中小企業経営強化税制があります。
以下、それぞれを投資促進税制、経営強化税制と呼んで区別します。
一定の設備投資とは
投資促進税制
対象となる一定の設備投資とは、以下の資産の取得を指します。
機械装置 | 1台160万円以上 |
測定工具・検査工具 | 1台120万円以上 or 1台30万円以上かつ合計120万円以上 |
一定のソフトウェア 複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OS等を除く |
1つ70万円以上 or 複数の合計70万円以上 |
貨物自動車 | 車両総重量3.5トン以上 |
内航船舶 | 取得価格の75%が対象 |
出所:国税庁HP
経営強化税制
対象となる特定経営力向上設備等とは、以下の資産の取得を指します。
機械装置 | 1台160万円以上 |
工具・器具備品 下記Aの場合、測定工具、又は検査工具に限る |
30万円以上 |
建物付属設備 | 60万円以上 |
ソフトウェア 下記Aの場合、情報収集・分析・指示機能等に限る |
70万円以上 |
更に、下記の要件を満たす必要があります。
類型 | 要件 | 確認者 |
A 生産性向上 | 生産性が旧モデル比平均1%以上向上 | 工業会等 |
B 収益力強化 | 投資収益率が年平均5%以上の投資計画 | 経済産業局 |
C デジタル化 | 可視化・遠隔操作・自動制御化 | |
D 経営資源集約 | 修正ROAor有形固定資産回転率が一定以上 |
その他要件として、以下があります。
生産等設備を構成するもの 事務用品、本店・寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設は含まない |
国内への投資である事 |
中古資産・貸付資産ではない事 |
出所:国税庁HP 中小企業庁パンフレット
対象となる事業者
両制度の対象は、青色申告である以下の事業者です。
- 中小企業者(資本金1億円以下)
- 個人事業主(従業員1000人以下)
- 農業協同組合等、商店街振興組合
中小企業者は、大規模法人(資本金1億円超)に1/2以上、又は複数の大規模法人に2/3以上所有されている法人を除きます。
なお、税額控除は資本金によって制限を受けますので、次の項をご確認下さい。
優遇措置の内容
優遇措置を受ける際は、税額控除か特別控除のどちらかを選択します。
税額控除
資本金3000万円以下 | 資本金3000万円超1億円以下 | |
投資促進税制 | 7% | 適用なし |
経営強化税制 | 10% | 7% |
税額控除の上限は、両制度合算で、調整前法人税額の20%です。
税額控除額が20%を超えた分は、1年間の繰越しが認められています。
特別償却
資本金1億円以下 | |
投資促進税制 | 30% |
経営強化税制 | 100% |
最後に
優遇措置には税額控除と特別償却がありますが、特別償却は将来の償却分の前倒し計上に過ぎないので、本質的な減税と言えるのは税額控除の方だと思います。
上記で見てきたように、経営強化税制は適用のハードルが高く、手続も煩雑であるため、まずは一般的な投資促進税制の方で検討を進めた方が良さそうです。
対象となる設備の投資額は、中小企業にとってはハードルが高いようにも思いますが、高価な機械を導入するのは計画的に行うのが普通だと思うので、設備投資の際は、優遇措置の適用可否を事前に検討しておく事をお勧めします。