合同会社の作り方①
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個人でやっていた事業が成長し、累進課税がしんどくなってきたら、法人設立を考えると思います。
一時的な高収入ならまだしも、先々の収支がある程度見込める場合は、法人設立のタイミングは非常に重要です。
1社目の法人設立は、今から6年前でした。
今ほど親切なサイトが見当たらなかった時代でしたので、行政書士に電子定款を頼むこともせず、無駄に4万円の印紙を貼ったりしてました。
2社目を設立した時は、サイト経由で電子定款を作成し、費用を最小化することができました。
どちらの会社も、合同会社です。
株式会社を検討される方も多いと思いますが、両者の比較は、また別の機会に。
今回は、合同会社の作り方を見てみましょう。
設立にかかる費用
1社目と2社目のかかった費用を比べてみましょう。
1社目 | 2社目 | |
登録免許税 | 60,000円 | 60,000円 |
定款印紙代 | 40,000円 | なし |
電子定款 | なし | 6,400円 |
実印作成 | 7,800円 | 3,500円 |
合計 | 107,800円 | 69,900円 |
2社目は、定款印紙代4万円が無くなったことと、実印を安いやつにした効果で、4万円近くを節約できました。
合同会社の設立は、自分でやれば、概ね7万円ということですね。
定款の作成
定款とは、これから設立する会社の憲法みたいなものです。
株式会社と違って、合同会社は定款による自由な取り決め(定款自治と言います)が可能です。
定款の作成にあたって、いくつか決めなければいけない事柄があります。
かんたん会社設立にアクセスして、サイトの案内に従って作成すれば、何を自分で決める必要があるのか、自ずとわかります。
会社名
まず、会社名を決める必要があります。
事業の成長と共に長くお世話になる名前なので、わが子ほどではありませんが、よく考える必要があります。
会社名称でSEO対策を考えているならともかく、あまり個性的な名前だと、飽きる可能性もあります。
なにより、設立時の熱いテンションで考え付いた名前というものは、あとで妙に気恥しくなるものです。
社名はあとから変更できますが、登録免許税3万円がかかりますし、銀行口座の名称変更など、面倒な手続きが発生します。
あと、既にある会社名でもいいのかという点は、同一の住所でなければ、大丈夫です。
「この名前の会社に間違われたら大変だ」という事情もあると思うので、登記しようとする会社名は、予め検索してチェックしておくことをお勧めします。
また会社のHPを作る場合も想定し、使えそうなドメイン名が空いているかも、チェックしておくと良いです。
登記住所
どのような規模に展開するのか未定の場合は、自宅住所にしておく事をお勧めします。
以前、レンタルオフィスを借りたことがあり、そこを登記住所にしようかと考えたことがありました。
結局、レンタルオフィスの使い勝手が思ったほどではなく、自宅で作業することがほとんどだったので、1年くらいして解約しました。
この時、もしレンタルオフィスを登記住所にしていたら、登録免許税で3万円かかるところでした。さらに法務局の管轄が違えば、6万円です。
事務所を構えるのは、人を雇ったり、接客スペースが必要になってからでも遅くはないので、そのタイミングで登記住所の変更が必要かどうか、検討しましょう。
資本金の額
合同会社では、お金を出す人のことを、株主ではなく、出資者と言います。
株式会社と基本は同じルールなので、資本金は1円でもいいことになっています。
事業の立ち上げに100万円必要だったとしても、残る999,999円を、代表者からの「役員借入金」として負債にしておけばいいという事です。
ただ、資本金があまりにも少額だと、謄本を見た人が、「この会社はあやしいに違いない!」となりがちです。
会社法が施行される前の商法の時代は、最低資本金ルールというのがあり、株式会社は1,000万円、有限会社は300万円でした。
有限会社は会社法の施行により廃止され、新たに設立できなくなりましたが、これに代わる法人格として、合同会社という制度が新設されました。
こうした経緯から、今でも資本金は300万円以上じゃないの?と思っている中高年の方は多いです。
1社目は、銀行から融資を受ける事も考慮し、資本金を300万円にしました。
別にいくらでもいいと思いますが、意味のない質問に付き合うのも面倒だと思ったからです。
2社目は、当面、銀行から融資を受ける予定はないことから、資本金を100万円にしました。
これも根拠のない数字ですが、世の中的に、程よく受け止めてもらうには、100万円以上とすることが多いように感じます。
ちなみに、動かせるお金があるからと言って、資本金を1,000万円以上にしてしまうと、1期目から課税事業者になってしまい、課税売上がある事業の場合、消費税の納税義務が生じます。
課税売上が立つビジネスなら、資本金を1,000万円未満にして、2期目までの消費税の納税義務を免除してもらう方がお得です。
さらに、一般建設業など、資本の額が許認可要件になっている業種もあるので、この点も含めて資本金の額を検討しましょう。
事業の目的
会社を設立する際には、その会社がどんな事業を行うのか、事業目的を定款に定める必要があります。
同時に、この事業目的は謄本に記載されます。
定款に載っていない事業はやってはいけないことにはなっていますが、それを咎める人はいませんし、項目の最後に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」としておくのが普通なので、あまり気にする必要はないかと思います。
何項目ぐらいがいいのかと思い、他の会社の謄本を閲覧したりしましたが、だいたい5項目前後が多かったです。
中には10項目以上を記載してある会社もありましたが、謄本の見た目がゴチャゴチャしていて、何をやっているのかわからない、怪しげな会社に見えてしまいがちです。
なので、やる可能性の低い、メインの事業とは無関係な事業目的を書いたり、やたらと多くの事業目的を書きまくるのは、考えものです。
謄本はネットで誰でも取得できる時代なので、それを見た人が怪しまないよう、適切な内容、項目数にしておくことが重要だと思います。
事業年度
事業年度の始期と終期を定款で定めます。
終期は、設立日から1年以内である必要があります。
終期については、別に月末日でなくてもいいのですが、いちいち対外的な説明が必要になったり、ややこしいことになりがちなので、月末日にしましょう。
また、初年度はフルで12ヵ月にしたほうが、消費税免税期間を長くとれますので、初年度は12ヵ月目に到来する月末日にしましょう。
売上が上がる月を年度前半にする方がいいという記事も見かけますが、決算日はあとからでも変更できますので、設立当初は、消費税のメリットを優先した方がいいと思います。
因みに、決算日は登記事項ではないので、変更の際、法務局への申請は不要で、登録免許税等の費用はかかりません。定款変更の議事録作成と、税務署等への届け出だけで済みます。
上記を踏まえると、7月10日が設立日なら、翌年6月30日が第1期目の決算日となります。
なお、なるべく月初に近い日付の方が、初年度の期間が長くとれてメリットがありますが、設立日を1日(ついたち)にしてしまうと、住民税の均等割りが12ヶ月分(7万円)フルに課税されます。
設立日を2日にすることで、この均等割りが11ヶ月(6.4万円)で済むので、たった1日遅らすだけで、6千円弱が節約できます。
細かい点は省きましたが、定款を作成する上で自分で決める必要がある主な項目は以上です。
定款作成が終わり、サイト経由で行政書士の印鑑が押された定款のPDFを受領したら、必要書類を整えて、いよいよ法務局に行って設立手続きを行います。